2021年最初に読み終えた本。
帯の「私の育て方が悪かったんですよね」は、言いたくないけど、私自身、何度となく思ってしまった(今でも)ことがあり、そこに惹かれて読みました。
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子どもが産まれて、仕事を変え、自分を脇に置いて、娘の幸せを最優先に願い生きてきた主人公。
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30数年後、同性愛者の娘に、普通の結婚や幸せを…と願うも、娘は反発。職も住まいも不安定。且つ、主人公は仕事でも壁にぶち当たり、老後の不安が増すばかり。
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決して交わりはしない母子の思いも、娘のパートナーや、仕事で介護する老婆の
存在が緩衝材になり、交わらない・落ち着かないままであっても、関係性や在り方に変化は生じていた。
帯文の、「私の育て方が…」は、″親”をしている私が、何年経っても、何人目の子育てでも、時々おもってしまうことです。
子ども・子育てのことで落ち込んだり、悲しい気持ちになったり、苛立ったりした時、うっかりおもってしまいます。
おもいたくなんか、ないのに。
もちろん育て方が全て、なんてことはなくて、子どもの個性や成長・発達段階でやむを得ないこともあると重々承知の上。それでも「私の…」と背負い込みそうになることが、どうしてもある。
これ、お母さんだから?自分で自分にかけてる、「母だからの呪い」な気がしてきました。
また、主人公の、娘への期待の名を借りた、「自分の思い通りに、理想の人間に育って欲しい」エゴだって、私もしっかり持ち合わせてます。
息子に苛立った時の言葉にそれはしっかり表れて、息子に「全然尊重してくれない」と責められたことも、あります。
あれにはハッとしたなぁ。
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自分のことしかわからないと、簡単にどん詰まりになってしまう。「もうダメだ、私のせいだよ、私が悪いんだよ」と。
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でも、こうして自分のおもいに重なりが見つけられる本や映画に触れると、少しだけ距離をとって、自分を客観視しようともできる。
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私、視野が狭まってる。それは思い込み、傲慢さの表れ。傷ついて、悲しくて、泣き言言いたいだけだったんだなと、気づくことができる。
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本も映画も、冷静さと正気を取り戻させてくれる。「こうありたい自分」を、思い出させてくれる。
今年最初の本がこちらで、よかったです。