6/10,11に京都産業大学にて開催された、日本NPO学会 第25回研究大会の実践報告にて、NPO法人マドレボニータの取り組みを発表してきました。
テーマは、「事業承継後の組織運営について〜理事改選において誰もが組織運営を自分ごとにするための工夫〜 」です。
元々は、2011年からマドレボニータの認定インストラクターとして、産後ケア教室を開催してきた私。
ですが、2020年、マドレボニータが新体制になってからの団体理事となり、組織基盤強化・組織運営担当として、人権・ハラスメント対策や組織運営にまつわるあれこれに取り組んできました。
また、ありがたいことに、それらの取り組みをオンラインでお話しする機会だけでなく、 今年の2月には仙台で開催されたNPO法人や市民活動団体対象の勉強会などでも発表する機会をいただいてきました。
今回の学会発表も、マドレボニータのファウンダーの吉岡マコさん(NPO法人シングルマザーズシスターフッド代表)から、「かおりんが取り組んでいる組織基盤強化の一連の取り組みを考察しての気づきを発表することは、他のNPOにとっても参考になるだろうし、学会でも十分成立するんじゃないかな?」と、オススメいただきました。
この提案に、私は「おもしろそう!やりたい!」と、即座に乗りました(私がやるかどうか決める判断基準は、「おもしろいかどうか?」、いやこれマジで!)
学会なんて、そうそう参加できるものじゃない。
でも、この3年間で、NPO法人として事業承継や人権ハラスメント対策や、理事改選、組織基盤強化に関わるさまざまなことに取り組んできた。
そうやって、現場(組織)で実践してきたからこそ得られた成果や気づき、反省や課題は、数多くあります。
そう、「産後ケア教室」と同様に、現場(組織)をもって、実際に手脚を動かして行動してきたことって、立派な「強み」なんですよね。
(もっと言うと、家庭も夫婦も一つの「現場」だな、と思う)
そして、他の組織・団体と比較しても、マドレボニータの理事改選も、それを土台にした組織文化もかなりめずらしい。
その文化を公の場で発信するだけでも、「新しい価値観のもと運営し継続する組織がある」という一事例になるのでは?と思いました。
そんななかなかない貴重な経験ができたので、振り返りと気づきをまとめます。
(事前準備に協力してくれて、当日も学会会場までサポートに来てくれた共同代表ひろりんと)
学会での発表までにはこんなステップを踏みました。
①実践報告の要旨(様式あり)を提出
②要旨が受理され報告機会決定・報告書(様式自由)を提出
③当日の発表
書けばたった3行ですが、事前準備にかなり時間がかかりました(汗)。
もちろん、その時々で振り返ったり気づきをメモしたりもしていたんです。
けれど、理事改選実施から半年、1年と時間が経つからこそ見えてくる成果や価値、次はこうした方がより良いのでは…という課題も、学会発表のための準備でいろいろと見えてきたんです。
出来事は変わらなくても、その捉え方に幅が生まれるのは、その間にまた新たな経験や人との出会い、学びがあったからだな、と思います。
このことで私も組織も、ほんの数ミリずつでもつねに変化し更新し続けていることにも気づきました。
当日は、15分の発表時間⇒討論者の研究者の方からコメント⇒会場での質疑応答という流れでした。
ちなみに、発表前にも学生さんや NPO法人代表や自治体首長など、さまざまな方の発表を聞きましたが、流れは同じでした。
学会ってこういうスタイルで進んでいくんだなと、勉強になる。
研究者や学生さんなどアカデミックな立場のみなさんは、当然ながら知見も事例も豊富。
体験の意味や価値を表す言葉を、サラリと付与なさり、「そういうことだったのか!」と、おかげで新たな意味を見出すことが出来ました。研究と実践が一つの大きなシステムの中で行き交うことで、意味付けや価値もちろん、その後の取り組みにも幅が広がるのだなぁ…!と興奮。
また、発表会場には、2月に人権・ハラスメント対策の研修にともに登壇された大学の先生がいらして、発表前にも後にも声をかけてくださったり、以前からお世話になっている支援組織の方がいらして、数年越しでやっと直接ご挨拶できたり、一昨年の研修で親身なサポートをしてくださった教授の先生方もいらっしゃいました。
事業承継してからのこの3年で、こんなにもたくさんの人たちに支えられ、育てられ、見守っていただいているんだなと、目で見て肌で感じられました。とってもうれしかったし、励まされました。
(理事2年目に参加した外部研修でお世話になった大学の先生方。お二人とも、とてつもなくやさしい・・・!)
発表後に思ったことを。
「事業承継」も「役員改選」も組織によりさまざまで、何が正しく何が間違えているのかなんて、わかりません。
でも、少なくとも、マドレボニータではその時のありったけで、「これが最善」と思ってコトを進めてきたし、何より現場で、自分たちで考え、計画し、実践してきたという自負があります。
思うようにいかないことも山盛りだけど、そんなもんだぞ?簡単なわけないだろうと思うし、実際に動いてるからこそ、反省もトホホもあるんだと、自分に言い聞かせています。
だから今回の発表で、「私たちなんかが…」と卑下することはしない、と決めていました。
それはともに活動する内部のメンバーにも、応援したり支えてくれる周りの人たちにも、失礼だから。
私もマドレボニータも、他団体の方たちの知見から、たくさんの教えやアドバイスをいただいてきました。
だから、自分たちの体験も実践も出来るだけオープンにして、他の団体や次の人たち(内外)に恩送りしたいと思っています(そのために記録とったり、内部でもこまめに共有しています)。
今やっている取り組みは、今に留まらず、少し先の未来にも必ず役立つはずだと信じています。
お世話になったみなさん、ありがとうございました!