産前・産後のセルフケアオンライン教室には、ストレッチの体を動かすパートの後に、
テーマを設定してペアになって話す&聞くの「対話の時間」があります。
欠席の方がいらっしゃる時は、私も対話に入って、
出産後の女性たちと一緒に話したり、聞いたりします。
そんなオンライン教室の2週目「私の大切にしたい価値観」を
テーマに話してみて、気づいたことがありました。
それは、「感情は味わい切ると昇華して、手放せる」ということ。
そして、「大切にしたい価値観は、変化し続ける」ということ。
私もこの数年、同じワークを、研修や教室で何度も繰り返しやってきたんです。
いつも選ぶ価値観は、「尊重」でした。
理由は、私が子どもの頃に家族から、
「女の子だから勉強しなくても、いい」
「どうせお嫁に行くんだから」と未来に希望をもつことを
まったく期待されなかったことへの怒りと反発から、でした。
・・・我ながら、執念深いっていうか、後ろ向きっていうか・苦笑。
ただ、その怒りを理由やモチベーションや燃料にして、進学も就職も、結婚も子育てでも、
自分らしい選択や行動・努力をしてきた・・・っていう自負もありました。
たとえば、子どもには「男の子なんだから」「お兄ちゃんだから」とは、言わない。
本人に選びようがないことを理由に、自分の価値観を押し付けたくない。
子どもは、私とは別人格。・・・とおもってても、口出しすぎてしまうこともあるんだけど^^;
そんな中、いま学んでいるNVC(ノンバイオレントコミュニケーション)の講座で、
日常を振り返って、引っかかっているエピソードを話しました。
そこで、「私自身が人を(特に子どもを)尊重していない」ということに、気づいたんです。
それに気づいた時、愕然としました。
話を聴いてもらえない・軽く扱われる・・・っていう、
自分がされて一番嫌なことを、子どもに対してしてしまっていたんです。
なんでそんなことしちゃってたんだろう…。
講師の方は、「おもしろいね〜」「いい気づきだね」と受け止めてくれました。
そして、「子どものころは尊重を与えられるしかないけれど、もう大人だから、
自分で自分を尊重していいんだよね。もうそれができるんだから」って話してくれたんです。
ああ、そうだな、私はいつまでも「悔しがっている非力で小さな子ども」じゃないんだ。
そうおもって、今と過去の悲しみや絶望や怒りを、黙ってしばらく味わってみました。
そして、もういやだ、こんな悲しいおもいや、怒りや、苛立ちは、もう味わいたくない。
大事な人(子ども)にこんなおもいを味わわせたくはない、そう強くおもいました。
さらに、これまでは自分自身が自分を大事におもったり、尊重できずに、
「できない私」「情けない私」とおもう気持ちを捨てきれなかったから、
「私をもっと尊重してほしい!」と、その価値観を選び続けていたこともじわじわ感じました。
なんだ、自分の外側(周囲・環境)じゃなくて、内側(自分の内面)の問題だったのか…。
その講座の後に、オンライン教室の「私の大切にしたい価値観」を
テーマにした対話で選んだのは、「正直さ」「オープンであること」でした。
今まで目に入ってこなかったこの2つが、スーッと自然に目に止まったのは、
なんだか新鮮で、不思議な感覚でした。
今の私は、もう「尊重」を選ばなくて、いい。
大事にしたいものやこだわりも、それを選ぶ理由も、さまざま。
それがネガティブなものでも、ポジティブなものでも、何でも・どっちでも、いい。
ただ、それを否定せずに、「あるんだなぁ」「なぜだろう?」
「それをもって、私はどうありたいのか?」を感じてみる。
そうすると、今ほんとうに大事にしたいものを素直に選べるんだとおもいました。
長く携えてきた価値観も、味わい切って昇華すれば手放せることもあるし、
その後で新たな「いま大切にしたい価値観」にも出会えることも、ある。
出産後は、赤ちゃんの誕生で「親」の役割が追加されて、
仕事やパートナーシップや生き方の根っこが揺さぶられるようなおもいをすることも、
たくさんあります。
「私はどんなことをおもってる?」「そもそも、どんな人間だったっけ?」なんていうように。
でも、そうやって自分に向き合ってアイデンティティを再構築していく機会は、
人生にそう何度も訪れるものではないし、そこでじっくり自分や周囲に向き合うことで、
それまでよりもっと自分らしい行動や生き方を選び直すチャンスにもできる。
毎月、マドレボニータに参加する全国の出産後の女性たちは、
その機会に真摯に向き合って取り組んでいるんだと、あらためて尊敬のおもいも沸きました。
そして、私のように産後からしばらく経っても、
自分に向き合うことも、変化・更新し続けることも、
その意志と機会と、できればそれに一緒に取り組む仲間がいれば、
誰だってできるんじゃないか?とおもいます。
学んで、自分・周囲に向き合って、体験して・・・って、決して楽じゃないけれど、
おもしろい。
学びも、そして教室で出産後の女性たちと向き合う仕事にも、
さらに魅力と期待を感じる、そんなエピソードでした。
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